こんにちは。マル・イケダです。
このページを見ているのはキャリアチェンジを考えている人ではないでしょうか。
今回はキャリアチェンジの考え方や方法について、
『ハーバード流 キャリアチェンジ術』 (Herminia Ibarra , 翔泳社)
体系的に学びましたのでこのブログをとおして、皆さんにご紹介したいなと思います。
CONTENTS
『ハーバード流 キャリアチェンジ術』について
著者のHerminia Ibarra(ハーミニア・イバーラ)さんは、ハーバートビジネススクールで13年教鞭をとった方で、人材管理、キャリア開発、組織変革が専門分野の教授となります。
ちなみに英題は『Working Identity: Unconventional Strategies for Reinventing Your Career』訳すと『働く中でのアイデンティティ:キャリアを再構築する型破りな方法』となります。
つまり、これまでの定石とは違ったキャリアチェンジ術をまとめてくれている本となります。
方向を間違えてしまう従来の転職方法
質問です。
どのように「次のキャリア」にアプローチしていくでしょうか。
おそらく多くの人は、このようなアプローチを取るのではないでしょうか。
自分の持っている能力・資質を棚卸し、興味がある分野、大事にしたいことなどを整理する。 そして、次に仕事に繋がる情報を探し進路を決めて、転職活動を開始し次のキャリアに就く。
筆者は、このような従来の方法を「計画と実行」型とネーミングし、完全否定とは行かないまでも、不十分であると説明しています。そして、この「計画と実行」型では、
自身の考えや価値観の深堀りを行い一応転職をすることができても、正しい自己認識の理解には届かず、失敗を招いてしまう可能性がある
と主張しています。
より納得感のあるキャリアチェンジのステップ
そこで筆者は、従来の「計画と実行」型の代わりに、
「試して学ぶ」型のキャリアチェンジ術を提唱しています。
具体的には、次のステップにより望むキャリアに近づくことができます。
- いくつかの将来の自己像をリストアップ
- リスト内の項目の詳細検討
- 実際に試してやってみる
- 評価する
まず、いくつかの将来の自己像をリストアップする。リストを作る際は、思考に制限をかけず、実現性の高いものから低いものまで、ただ漠然と興味を持っているものでも良いので、複数リストアップすることが大事となります。
そしてそのリストの中からこれから詳しく検討していくことを考え、要らないものは削除していきます。
そして残ったリストの中にある職業を実際に試してやってみる。リストにあるものを試してみて、その中で「本当に自分の望む将来像が得られるのか」振り返りを行い、軌道修正を繰り返していくことで、納得感のあるキャリアを手にいれることができるというわけです。
具体例
本の中では、イギリス人のゲーリーという経営コンサルタントが事例として上がっています。
ゲーリーは、35歳の時に不公平な評価を受けたと感じたことをきっかけに、会社をやめMBAに通います。MBAで勉強しながら過去を振り返る中で、いつも両親や友人の応えるために進路を決定してきたことに気付き、次は自分がしたいことをしようと決め、次のキャリアを具体的に考えていきます。
転職のカウンセリングを受けても大した役には立たない。そこで、一緒に働きたい尊敬できる人や自分の趣味から、現実的かどうかは気にせずリストを作っていきました。
有名な経営者のもとで航空業界働くこと ワイン農園の経営 スキューバダイビングのインストラクター
ゲーリーはそのリストの可能性を1つ1つ試していきます。
金融業界の面接を受け、経営者に直接電話したり、ワイン農園の経営計画を立てたり、スキューバーダイビングの資格を取りました。
可能性を1つ1つ試していく中で、見えない制限や隠れていた評価基準、価値観などが見つかり、結局安定した暮らしができる航空業界で働くことを決めたのです。
長くて辛いアイデンティティの更新期間
将来の自分像を1つ1つ試していく中で、軌道修正が繰り返され、納得する進路が見つかってくる。
というのが本書の主張です。
しかし、この試みは時間がかかり数年かかることが普通になります。
この期間を「新旧アイデンティティの更新期間」とよびます。
「新旧アイデンティティの更新期間」は楽しいものではなく、辛く塞ぎ込んだ時間になりますが、この期間によって、新しい自分像が獲得し、新しいキャリアを納得して得られることになります。
ちなみに本書の対象者では、平均3-5年の期間を経て次のキャリアを見つけたと言うことで、やはり時間がかかることを物語っています。
挑戦する環境を整える
今の仕事もありながら多くのことを試していくために環境を整えることも必要です。
ポイントとなるのは以下2つの環境です。
- 現実を認識させてくれる指導者を持つこと
- 安心して実践できるコミュニティに属する
- 励ましを与え、人生や仕事の新しい道を教えてくれるひと
- 自分の能力を慎重に評価した上で、考え方が妥当であり矛盾がないことを伝えてくれるひと
- 漠然として道のりに対して、現実を認識させてくれることで道のりが明確になる
- 変化の過程で援助を求める時に応えてくれ、適度に距離を持ってくれ任せてくれる環境
- 変化する時に自分に安心感をもたらせてくれ挑戦できる環境
- 居心地の良い身近にあるとは限らない
このような指導者とコミュニティに出会うことで、フィードバックが可能となり、はっきりとした道が見えてきます。そしてその出会い方は職場かもしれないし、セミナーかもしれないし、占い師かもしれない。探していく姿勢によって出会うことができるということです。
最後に
どうでしたでしょうか。
現代のキャリアは、かつてほどどこか一社にずっと所属するという考え方は、だいぶ弱くなっていると思います。経団連やトヨタの発言にも出てくるように、終身雇用性も崩壊する日が近いと思います。そのような状況の中で僕たちはしっかりと力をつけてキャリアを歩んでいく必要があります。
一方で、自分らしく働くために、自分の納得するキャリアを歩む必要があります。その方法論をとして「試して学ぶ」ことを、本書は教えてくれます。
幸いにも、今の時代は、副業が会社から認められつつあり、またクラウドワークスやサンカクなどのプラットフォームも数多くあるため、「試して学ぶ」ステップが実行しやすい時代になっています。
一人でも多くの人が本書・本ブログを通して、新しい自分を見つけられる人が一人でも増えれば良いなと思います。
それではまた!