【適職転職】自分に合う仕事は何か。ホランドの職業選択理論について

みなさんこんにちは。マル・イケダです。

今日はホランド理論をご紹介したいと思います。

ホランド理論というのは、個人のパーソナリティから向いている職業を診断する、職業選択のための理論です。

そのため今回の読者の想定としては、以下のような方々が挙げられます。

  • もうすぐ就活を控えているがどういった職業を選べば良いか検討がつかない
  • すでに就職して働いているが、自分に向いている仕事があれば転職を検討したい

それでは一緒に見ていきましょう。

ホランド理論ってなに?

ホランドって誰

本名は、ジョン・エル・ホランド(John L. Holland)で、アメリカの職業心理学者です。

ウエスタンリザーブ大学や、ジョンズ・ホプキンズ大学で心理学の教授を行いながら、自身もキャリアカウンセリングとして現場で働いていた方となります。

その中で、実際のキャリア選択の役に立つ検査ツールを開発したいと考え、臨床現場での経験から着想を得て、多くの実証的研究を亡くなるまで重ねていきました。

理論の概要

ホランド理論は、人のパーソナリティを6つタイプに分類し、それぞれにあった職業をマッチングさせるというものです。

なぜパーソナリティから適切な職業を決定できるのかというと、「会社を選ぶ背景には個人パーソナリティが関連しており、同じ職場には似たようなパーソナリティを持つ人が集まっている。したがって仕事がしやすい環境にあり、満足が高まる」という前提から構築されています。

職業の選択は、パーソナリティ表現の1つ。同じ職業に就いている人々は、似たようなパーソナリティ特性と発達史を有している。 同一の職業群に属する人々は、似たパーソナリティを持つので、様々な状況や問題に対して、同じように反応したり、特徴のある対人関係を構築するであろう。職業的な満足、安定性、業績は、個人のパーソナリティとその人の働く環境との一致度によって 決まる。

『職業研究 2013 秋季号』http://www.koyoerc.or.jp/assets/files/349/all.pdfより

ちなみにホランド理論を使用した職業診断ツールは世の中に多く出ています。

日本でも独立行政法人労働政策研究・研修機構「キャリア・インサイト」などに利用され、とても有名な職業選択理論となっています。

ホランド理論について詳しく

パーソナリティの6類型

パーソナリティ診断

前述のとおり、理論はパーソナリティを類別することから始まります。パーソナリティに基づき、その人が活躍できる、受容してくれる環境(職場)を選ぶためです。診断するために以下のサイトがあるので活用してみてください。27の質問に答えるだけなので数分で終わると思います。

 

パーソナリティ6類型 (RIASECモデル)

ホランドはパーソナリティを以下6つに分類しています。この分類はそれぞれの頭文字をとってRIASECモデルと呼ばれています。それぞれ説明を載せますので、自分のタイプはどういう特徴なのか、確認してみてください。

 

Realistic 現実的

  •  機械や物に対する関心が強い
  •  対人的、社会的出来事への関心は乏しい
  •  機械を操作したり、物を作る能力に恵まれている
  •  対人接触が不得手で、それを必要とする仕事を 好まない

Investigative 研究的

  •  抽象概念や論理的思考に強い関心を持つ
  •  合理的で几帳面であると同時に、内向的である
  •  物事を数理的に処理し、論理的に考え、解釈する能力に恵まれている
  •   知的にも、教育的にも要求水準が高い
  •   指導性や統率力はあまりない
  •   物事を1人で成し遂げることを好み、グループでの活動を好まない
  •  科学や芸術に対して高い価値を置く反面、社会的、経済的あるいは政治的問題に対してはあまり関心を持たない

Artistic 芸術的

  •  音楽、美術、文学などに強い関心を示す
  •  独創性や想像力に恵まれている
  •  繊細で感受性が強い
  •  型にはまるのを嫌い、規則や習慣を重視せず、 自分の感性や独自性を大切にする。
  •  内向的で、自分や他者の感情に敏感なため、衝動的になりやすく、不安感が強い

Social 社会的

  •  人に教えたり、援助したり、人と一緒に活動するのを好む。 
  •  責任感が強い
  •  他者に対する洞察力に富む
  •  人に対し親切かつ寛大である
  •  さまざまな人と良好な人間関係を作ることができる
  •  人の気持ちを理解し、敏感に反応することができる

Enterprising 企業的

  •  新しい事業や計画を企画したり、組織作りをしたり組織を動かすなどの活動を好む
  •   権力や地位を重視する
  •   指導力、説得力、表現力に恵まれ、積極的で社 交性に富む
  •   他人に従うよりも、自らリーダーシップを発揮して、 新しい仕事を開拓していくことを好む

Conventional 慣習的

  •  反復的な事務的色彩の濃い活動などを好む
  •  規則や習慣を重んじる
  •  さまざまな状況に対しても順応的、協調的である
  •  几帳面で、ねばり強く、また自制心に富んでいる
  •  人との和を重んじ、属する集団を一つにまとめることを重視する
  •  人々の間に葛藤や混乱を起こさないように行動する
  •  自発的、創造的に行動したり、自己主張をして自分がリーダーシップをとるよりも、権威者の指示に従うことを好む

また、このRIASECモデルは以下のように六角形で表現されます。

それぞれのパーソナリティの相互関係を表していて、近くにあるパーソナリティは比較的近く、逆に対角上にあるものは真逆であることを示しています。

【RIASECモデル】

キャリア・クラスター6類型

プレディガーという人が、ホランドの理論に加え、

職業についてその職業が扱うもの(=ワークタスク)を4つを分け、

さらにその組み合わせによって、職業を6つのキャリアクラスターに分類しました。

 

ワークタスク

  • ヒト: 機会、メカニズム、材料、道具、物理的・生物学的プロセスなどを扱う活動
  • モノ: 人の援助、知識を伝える、奉仕する、説得する、もてなす、励ます、指導するなど の活動
  • データ: 事実や記録、ファイル、数字、規則的な手順を扱う活動
  • アイデア: 抽象的概念、理論、知識、洞察、何かを新しい方法で表現する活動

 

キャリア・クラスター

  • ソーシャル・サービス系:【ヒト】
    • 社会・行政サービス、教育、医療、保険、介護などにかかわる職種
    • 社会奉仕の職業・医療保健関係の職業・各種の対個人サービスの職業・学校教育、社会教育関係の職業・販売関係の職業

 

    • 芸術系キャリア:【ヒトとアイデア】
      • 創造・舞台芸術、文学、社会科学などにかかわる職種
      • 美術、彫刻、工芸関係の職業・舞踊関係の職業・文芸関係の職業 ・音楽関係の職業・演劇、演出関係の職業・デザイン、イラスト関係の職業

 

    • 管理系:【ヒトとデータ】
      • マーケティング・販売、経営管理・企画などにかかわる職種
      • 経営管理関係の職業 ・ 広報、宣伝関係の職業 ・営業関係の職業・ 管理的事務関係の職業 ・ 財務関係の職業・報道関係の職業

 

    • 技術系キャリア:【モノ】
      • エンジニアリング、建設・保守、農業、産業機械操作、修理など
      • 動植物管理の職業・工学関係の職業・熟練技能の職業・機械管理の職業・手工芸技能の職業・機械、装置運転の職業・生産技術関係の職事

 

    • サイエンス系キャリア:【モノとアイデア】
      • 自然科学・数学などにかかわる職種
      • 動物、植物生理学関係の職業 ・物理科学関係の職業・社会調査研究関係の職業・生産工学関係の職業・数理、統計学関係の職業・医学関係の職業・情報処理関係の職業

 

    • ルーティン系:【モノとデータ】
      • 金融取引、保管・輸送、OA機器操作などにかかわる職種
      • 経理事務関係の職業・警備、巡視の職業 ・一般事務の職業 ・ 文書整理、保管の職業 ・ 法務関係の職業・編集、校正関係の職業

パーソナリティに対する適職は何か

ホランド理論では、これら6つのキャリアクラスターに対して、

それぞれ適したパーソナリティがあり、それが適職と判定されます。

まとめると次のようになります。

  • R 現実的:技術系キャリア
    • エンジニアリング、建設・保守、農業、産業機械操作、修理など
    • 動植物管理の職業・工学関係の職業・熟練技能の職業・機械管理の職業・手工芸技能の職業・機械、装置運転の職業・生産技術関係の職事

 

  • I   研究的:サイエンス系キャリア
    • 動物、植物生理学関係の職業 ・物理科学関係の職業・社会調査研究関係の職業・生産工学関係の職業・数理、統計学関係の職業・医学関係の職業・情報処理関係の職業

 

  • A 芸術的:芸術系キャリア
    • ・美術、彫刻、工芸関係の職業・舞踊関係の職業・文芸関係の職業 ・音楽関係の職業・演劇、演出関係の職業・デザイン、イラスト関係の職業

 

  • S 社会的:ソーシャル・サービス系キャリア
    • 社会奉仕の職業・医療保健関係の職業・各種の対個人サービスの職業・学校教育、社会教育関係の職業・販売関係の職業

 

  • E 企業的:管理系キャリア
    • 経営管理関係の職業 ・ 広報、宣伝関係の職業 ・営業関係の職業・ 管理的事務関係の職業 ・ 財務関係の職業・報道関係の職業

 

  • C 慣習的:ルーティン系キャリア
    • 経理事務関係の職業・警備、巡視の職業 ・一般事務の職業 ・ 文書整理、保管の職業 ・ 法務関係の職業・編集、校正関係の職業

パーソナリティから職業を考えてみる

本日はホランド理論についてご紹介させていただきました。

ちなみに私は、「I 研究的」パーソナリティでしたので、サイエンス系のキャリアが適職になります。確かに、データをベースにした仕事には興味があるので、その点納得感がありました。

一方で、この理論の注意点は、自分にあう職業が出たとしても、それはあくまでもパーソナリティから出てくるもので、能力を持ち合わせているか、実際にはまだわからない、ということです。つまり、自分に合う環境に付けたとしても、その職業能力が身につかなければ、辛いものになってしまうと思います。

個人的には、この理論の使い方としては、最初のキャリアを探すときの入り口として、また、仕事が合わないなと思った時の裏付けとして試してみるに留めるべきと考えます。導き出された職業に「えいや」で転職するよりも、単なる方向性として検討するべきかなと。

実際の転職活動の方法としては、『ハーバード流キャリア・チェンジ術』にて、まとめているので是非みて見てください。

 

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それではまた!